人々の目を惹きつける奇抜でカラフルな建築デザイン!!日本(大阪)にあるフンデルトヴァッサー建築

フリーデンスライヒ・レーゲンターク・ドゥンケルブント・フンデルトヴァッサー(ドイツ語: Friedensreich Regentag Dunkelbunt Hundertwasser)(1928〜2000年)は、オーストリアの芸術家、画家、建築家です。日本語では「百水」とも呼ばれ、鮮やかな色使いと曲線の多い作品が特徴です。
自然をこよなく愛するフンデルトヴァッサーは、幼い頃森で摘んだ花で押し花を作るのが趣味だったそう。そんな彼の作品は自然をテーマにしたものがほとんどで、日本にも彼の建築作品が数か所残っています。
フンデルトヴァッサーらしさが伝わる建築は、今でも多くの人々の目を惹きつけ続けています。

舞洲スラッジセンター(大阪市此花区)


鮮やかな外壁と、丸みの特徴的な煙突が、まるでテーマパークの入り口を想像させるこの施設は、実は下水の汚泥処理施設なのです。
赤い外壁のストライプは炎を、煙突の青色は大阪湾の海と空の青さを、煙突の頭頂部にある黄金は将来への夢と希望をイメージしています。 ごみ処理場である舞洲工場も隣接されており、二つの芸術的な建物が遠目でも目を惹きます。 もちろん、派手なのは外観だけではありません。出入りが自由なエントランスホールは壁や床が曲線で構築されており、フンデルトヴァッサーらしさを感じる奇妙な空間になっています。遊歩道や庭も夢の中にいるかのような非現実なデザインです。
バルコニーと屋上には植栽が施されていたり、ゴミ焼却の際に出た廃熱蒸気が汚水の処理に活用されていたりとエコロジーにも配慮しているそう。そのため、国土交通省の開催した第13回いきいき下水賞の水道普及啓発活動部門を受賞しています。
2004年の五輪招致で盛り上がりをみせていた大阪府でしたが、「汚い」「臭い」といったイメージで、当時建設を考えられていた汚水処理場は観光業界から「迷惑施設」と鼻つまみ者にされてきました。そんなイメージを覆し、むしろ観光客に興味を持たれるような施設を建てようと大阪市はフンデルトヴァッサーにデザインを依頼します。ゴミをいかに自然に戻すかという取り組みにも力を入れていました。
悪臭の環境問題解決にも取り組んでおり、汚泥から絞られた液体はそのまま川に流さず、匂いの元となるアンモニア性窒素を舞洲工場からの蒸気で加熱除去してから処理しています。汚泥から出たスラグも下水工事の埋め戻しで土に混ぜ、活用しています。汚泥を固形燃料化する挑戦も行われており、環境問題に取り組む第一線で活躍している施設です。

施設名舞洲スラッジセンター
住所大阪市此花区北港白津2丁目2番7号
公式サイト名大阪市
公式URL舞洲スラッジセンター(下水汚泥処理場)
営業時間9:00~17:30
電話番号06-6460-2830

舞洲工場(大阪市此花区)

舞洲工場
舞洲スラッジセンターの隣に聳え立つごみ処理場の舞洲工場は、「世界一美しいごみ処理場」と言われています。その外観はまるでテーマパークの一角、あるいは絵本の中から飛び出した城のようです。USJが近いこともあり、パーク内のものと間違われたこともあるのだとか。 「技術、エコロジーと芸術の調和」をコンセプトにデザインされたこの施設は、フンデルトヴァッサーらしい曲線が外壁の至る所にあしらわれています。一つ一つ形の違う窓は500もあり、通りがかる人の目を惹きます。壁面にあしらわれた黄色と赤のストライプは、工場内で燃えている炎を表現しているそうです。
2008年のオリンピック開催を背景に建設計画が立てられ、事業費609億円、2001年に竣工以降1日900トンものゴミを焼却し続けています。粗大ごみも処理できる設備があり、1日170トン処理されています。 火力発電と同じ原理で、ゴミを焼却した際に発生した熱から電気を作り出しています。このうちの3割は自社工場で使用され、残りを電力会社に約6億で売却し、収入を得ています。
鉄、アルミのリサイクルや蒸気の再活用など、エコロジーな活動が盛んで、スラッジセンターへの蒸気供給収入は600万円程もあったそう。 派手なごみ処理場を作ったことにより、「税金の無駄遣いだ」という声もありますが、負のイメージが強いごみ処理場だからこそ明るい印象を持たせて人々の記憶に残していくことが大事だと訴えています。
実際、「芸術鑑賞」を目的として見学に来る方も少なくありません。ごみ処理場と知らずに訪れる方も中にはいます。外観のデザインをきっかけに見学をしてもらい、身近なごみ問題について知ってもらうというのも狙いの1つだそうです。

施設名舞洲工場
住所大阪府大阪市此花区北港白津1丁目2−48
公式URL舞洲工場 – 大阪広域環境施設組合
営業時間24 時間営業
電話番号06-6463-4153

キッズプラザ大阪(大阪市北区)

「遊んで楽しく学ぶ」がテーマの子供向け博物館であるキッズプラザ大阪。1997年の開業以来、毎年40万人を超える来場者で賑わっています。
そんなキッズプラザの中にある「こどもの街」のデザインををフンデルトヴァッサーが手がけています。回廊、壁、窓など、すべてが曲線でできており、非現実感を感じられます。すべて形の違う窓はフンデルトヴァッサーのこだわりが伝わってくるようです。
子供の身長に合わせて作られたような内装は、白い粘土で作ったような壁にカラフルなアクセントが刻み込まれていて秘密基地のような雰囲気が大人までわくわくさせます。子供向けの仕掛けも豊富で、つり橋を渡れたり、チューブスライダーで滑ることができたり、壁を登ることまで可能です。子供心をよく理解しているフンデルトヴァッサーの粋な気遣いが感じられます。
フンデルトヴァッサーは「自然の中に唯一存在しないものが直線である」という言葉を残しており、直線で出来た建築を嫌っていたそうです。子供のための博物館というテーマで自然との共存を伝えるこの建築はフンデルトヴァッサー自身の主張でもあったのでしょうか。
「こどもの街」の建築を目的に訪れる観光客も多く、日本だけでなく海外からも足を運ぶ人がいるそうです。 キッズプラザ大坂では、海外の民俗衣装の試着や、楽器の体験など大人まで楽しめる展示が盛りだくさんです。
「こどもの街」はもちろん、「人が入れるシャボン玉」など、写真映えするスポットも多いのが魅力の1つ。家族旅行にはピッタリな施設です。 施設にはインタープリターと呼ばれるボランティアがおり、展示やプログラムの紹介をしてくれるので、子供たちが十分に学びを得ることができます。大人の人に嬉しいくつろぎスペースも4階にあり、完全室内の施設ですので年中楽しむことができるのが嬉しいですね。

施設名キッズプラザ大阪
住所大阪市北区扇町2-1-7
公式サイト名キッズプラザ大阪
公式URLキッズプラザ大阪 – 遊んで学べるこどものための博物館
営業時間9:30~17:00
電話番号06-6311-6601

フンデルトヴァッサー・ハウス(オーストリア ウィーン)

こちらは日本にはありませんが、合わせてご紹介します。ウィーン3区にある集合住宅、フンデルトヴァッサー・ハウスは、ジョセフ・クラヴィーナとピーター・ペリカンの協力で1986年に完成し、現在は52戸の住宅、4つの店舗、16の私有地、3つのバルコニーから成っています。 赤や黄などで白い壁が彩られ、フンデルトヴァッサーの特徴でもある曲線があしらわれています。窓は不規則な形で、ベランダなどに250本もの樹木が植えられているのが、自然を愛するフンデルトヴァッサーらしさを感じさせます。 建設当時、ウィーンの法的基準からはみ出していたこの住宅は、ひどく非難を受けていたそう。排泄物再利用などのエコロジー化計画も立てられていましたが実現できず、建物の構造も従来のものと変わらない形で完成しました。
それでも、ゆとりのある空間を作り出したり、緑の中に人の生活を組み込ませたりする技術は、未来の集合住宅のあり方に大きく影響しました。さらに、建設後はその芸術的な建物に魅了され入居希望者が殺到するという人気ぶりを見せています。 屋上に植物を植えるという大胆な発想を建設者のピーターは「彼は哲学者だ」と称賛しています。
また、何度指示をしても直線的な建設をしてしまう職人たちに変わって、フンデルトヴァッサーとピーターはハンマーで夜中に角ばった所を壊していったといいます。こだわりを貫き通したフンデルトヴァッサーの建物は、波打つような曲線を描き、入居者たちを優しく迎え入れています。

施設名フンデルトヴァッサーハウス
住所Kegelgasse 36-38, 1030 Wien, オーストリア
公式URLHundertwasserhaus – Hundertwasser-Krawina-Haus
電話番号+43 1 24555



フンデルトヴァッサー NBS-J (タッシェン・ニュー・ベーシック・アート・シリーズ)

フンデルトヴァッサー(1928~)は、今日オーストリアで最も有名な、また最も評価の分かれる芸術家。人間は生まれつきの皮膚、衣服、住居、社会環境、地球環境という5つの皮膚を持つという彼の芸術を紹介。…

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