【7選】「日本のガウディ」梵寿綱(ぼん じゅこう)の日本の建築作品

  • 2023年12月31日
  • 2023年12月31日
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1974年 東京、カーサ中目黒

タイルで出来た日時計が白い壁に映るのが印象的な全13戸、4階建てのマンション。1974年築と、古い建物ですが、白い外壁に茶色の瓦屋根がレトロな雰囲気を出しています。周りの落ち着いた住宅街にもよく馴染んでおり、植物の手入れや、外壁の塗り直しなども丁寧にされています。
部屋の内装は3~4LDKと十分の広さがあり、ファミリー向けです。各棟通気、採光が良いにも関わらず、しっかりと外部からの視線をシャットアウトできる作りになっています。
共同庭にはおしゃれなベンチが並べられていたり、洋館のような電灯、独特な模様の窓格子が、どこか異国感を演出しており、住人の帰りをより華やかにさせています。

住所東京都目黒区下目黒2丁目21番17号

1975年 宮城、阿維智山荘

宮城県の社員厚生施設及び研修所として建てられた建物で、1975年築です。梵寿鋼が丸2か月かけて設計し、中野組によって半年以上かけて施工されました。
鉄筋コンクリート構造で、建築面積は417㎡になります。2階建て構造で、馬場璋造著の『新建築』でも紹介されています。
写真がネット上で全く見当たらず、謎に包まれている建築物です。

住所宮城県刈田郡蔵王町

1979年 東京、斐禮祈<ひらき>:賢者の石

白い外壁に繊細に彫刻された翼や騎士などの絵が、池袋を歩く人の目を惹きます。こちらは建築物ではなく、この彫刻が梵寿鋼の作品だそうで、外壁だけでなく、鉄柵がフクロウのような形だったりと、細かいこだわりが見えます。
賢者の石という作品名のとおり、外壁には大きな2つの黒い石が埋まっており、作品のアクセントに。翼や不死鳥のレリーフがファンタジーな印象を与えています。
内装も南国リゾートのような異国感があり、独特な絵柄のステンドグラスや、エントランスにユニークなベンチが複数並んでいます。どの方向を向いても違う風景が見えるのが独創的です。
1階部分は酒屋の倉庫になっており、それより上は住居として使われているそうで、住民たちが帰るたびにワクワクしてしまいそうです。

住所豊島区南池袋2-29-16

1983年 東京、ドラード和世陀

早稲田大学のそばに聳え立つ奇抜なデザイナーズマンション。実は梵寿鋼は早稲田大学建築学科の卒業生です。母校に思いを寄せるように建築されたそれは、外壁から内装に至るまで梵の世界が創造されています。
まるで城のような外装は、外壁の彫刻にも深いこだわりが見られ、西洋調の彫刻の中に、様々な柄や色のタイルが埋め込まれているのが派手で目を惹きます。
中に入ると、外のお城感は一気に消え、聖堂のように綺麗なステンドグラスが目に入ります。手の形をしたオブジェは木製の椅子で、宗教っぽさを演出。天井の深い彫刻も怪しさがあって魅力的です。
1階部分はかつて喫茶店があったが、今は閉店しており、看板だけが残っています。住居となる部屋の1室は梵本人も入居しているそうです。

施設名ドラード和世陀
住所東京都新宿区早稲田鶴巻町517
公式サイト名
公式URLhttps://doradogallery.main.jp/
営業時間12:00~20:00
電話番号03-6809-3808

1985年 東京、無量寿舞

蝶のような鉄門が幻想的な老人ホーム。人生の終わりを過ごす場所にふさわしく、白を基調とした神聖な設計や彫刻が特徴です。
教会のような白い外壁には、マリア像や赤子の彫刻がちらほら見られ、埋め込まれているタイルはアメリカの既製品を大量に輸入して使用してコストを削減したそう。
中に入ると、木、タイルなど様々な素材が使用されており、シャンデリアは木の実が吊るされているような形で、見るものを飽きさせません。南国感を匂わせるヤシの木を彫刻した壁や、中庭の青いタイルの模様、天に手を伸ばすような、手の形をした木の柱が天国を連想させています。廊下には様々な模様のステンドグラスが飾られており、ここで暮らすものを飽きさせない梵の工夫が伝わる。

施設名向台老人ホーム(無量寿舞)
住所東京都東大和市芋窪3丁目1638−2
公式サイト名mukoukai.org
公式URLhttp://www.mukoukai.org/home/framepage1.htm
営業時間 24時間(面会 9:00~20:00)
電話番号042-562-6787

1989年 東京、和泉の木戸(ラポルタイズミ)

東京杉並区に聳え立ち、ひと際目を惹く西洋チックな外観のマンション。独特な形の門戸を開け、細かいタイルで彩られた南国調のエントランスを抜けると、まるでハチの巣のようなハニカムの壁が現れます。
マンションの入り口は、魚の鱗のような柱に、白馬をイメージさせるレリーフが出迎えてくれます。異国感漂う紺色の屋根に、中にはハニカム調の壁。天を仰ぐと、青いステンドグラスが目に入ります。
その異国感は、住む人を時にお城の住人のように、時に魔法使いの家を訪れたような気にさせてくれるのです。通りがかる人は、ここに人が住んでいるなど想像できないでしょう。

住所東京都杉並区和泉1丁目4-8

1992年 東京、マインド和亜ビル(舞都和亜)

カラフルなタイルでポップな外装は、まるでボールが埋め込まれたようなデザインです。三角屋根に白が基調のタイルの壁が和洋折衷を感じさせる集合住宅。アメリカの映画に出てきそうな鉄門を開け、中に入ると全体が美術作品であるような奇抜なエントランスが登場します。
細かい壁の彫刻とタイルアートが見るものを非現実に誘い、住む者を毎日新鮮な景色へと連れていきます。
壁や天井、タイルアートには様々な生き物が隠されていたり、各部屋のドアはリボンで部屋番号を表現したアートになっていたりと、どこをとっても梵のこだわりが抜けない仕様です。エントランス、中庭にはおしゃれなベンチ、テーブルが用意されており、住人や来客がこの芸術作品を眺めながら休憩できるようになっています。

住所東京都杉並区和泉2丁目27-27



Casa BRUTUS特別編集 ガウディと井上雄彦 新装版

2022年12月に公開の『THE FIRST SLAM DUNK』が大ヒット、名実ともに日本を代表する漫画家・井上雄彦。
着工から約140年、未完の教会〈サグラダ・ファミリア〉の建設がついに佳境に入った建築家・アントニ・ガウディ。
異なる時代の2つの創造がシンクロした展覧会『特別展 ガウディ×井上雄彦』が…




もっと知りたいガウディ 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

あふれる色彩、曲面や曲線による豊饒な建築作品が特徴の天才ガウディ。1882年に着工し、建設が今も続く未完の大聖堂サグラダ・ファミリアは、彼の宗教的、芸術的ヴィジョンが結晶化したもので、私たちを魅了…

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