最近、絵本のジャンルで流行っているのが、『怖い系』。おばけや妖怪もの以外でも、様々な物語を展開する大人も楽しめる怖い絵本がいっぱいありますね。夏になると書店の『怖い絵本』の特集コーナーも作られ、盛り上がりを見せています。
私も2児の親として絵本を読み聞かせることが多々あり、その中でも怖くて読みたくない!と言うほど怖い絵本を何冊か知っています。ただ、臆病で怖がりな性格ということもあり、あきらかに怖すぎる感じの絵本は、こども自身も手に取ることはありません。こども自身、読んでみて、予想以外に怖い絵本だったということで、怖い絵本認定することがあります。
怖い絵本といっても、その魅力は恐怖心だけではなく、想像力を刺激したり、感情を揺さぶったりする点にもあります。子どもにとっては、「怖いけれど気になる」という気持ちを通して、自分の感情と向き合うきっかけにもなりますし、大人が読んでも背筋がゾクッとする体験は意外とクセになるものです。怖さと面白さの境界線は人それぞれ異なるため、親子で「これは怖かったね」「ここはドキドキしたね」と話し合うこと自体が、新しい読書体験になるのだと感じています。
明らかに怖そうな絵本と、個人的な見解で怖い絵本認定した怖い絵本をいくつかピックアップしてみましたので、ご参考にご覧ください。
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いるの いないの

『京極夏彦の妖怪えほん』シリーズの1作目の怖い絵本です。京極夏彦が原作、絵本『ネコヅメのよる』等で知られる町田尚子が絵本の中のイラストを担当しています。
表紙の絵からしてかなり怖い絵本であることが伺えます。そして、本当に怖い絵本なので、注意です。試しに読んでみましたが、幼稚園生のこどもには、刺激が強く、怖すぎるのではないかと思い、実際、こどもには読ませていません。絵的にオチがかなり刺激的なので、お気をつけ下さい。
試しに、書店で『いるの いないの』の表紙を見せて「読んでみる?」と聞いたところ、一瞬で断られました(笑)以下、レビューの抜粋です。
3歳の娘に読んであげたところ、大絶叫して泣き叫びました。トラウマになると思うので怖がりなお子さんにはオススメしません。私自身は好きだけど。
途中、るんるんと猫を数えていた娘も最後に絶叫しましたが、怖いものが大好きなのでお気に入りとなりました。
何も知らない主人が、娘にせがまれ読み聞かせをしていたようですが、隣の部屋から「うわーー!!」という声と娘の笑い声が聞こえました。
あおりをかけた描写や、家の闇と夏の真っ白な光の対比や、どこか落ち着かない整った部屋。
おばあちゃんが普通にそこで暮らしているのに、なんだか怖い田舎の家。
外の蟬しぐれとか、木々のざわめきとかの音やまで聞こえそうな、暑い暑いそして、ちょっと怖い夏の風景
うまく言えない懐かしさも混ざり合って、本当に大好きな絵本です。
最後のページは小さい子には怖すぎるかなーー。
たべてあげる

好き嫌いがあるお子様向けに作られた絵本で、Twitterでも、話題になっていたことがある絵本です。
絵本の中の絵のテイストが、出だしから少々不気味な雰囲気があり、お話が進むにつれ、意外な方向に展開されていきます。
最後は….ちょっとずっとするラストになるので、気持ち悪がる子どももいるのではないでしょうか。
考えるとちょっと怖い話ですが、何回でも見たくなるような話。野菜の嫌いな子どもの名前に変えて読むと、またリアルになり、ちょっとでも野菜を食べてみようという気持ちになればなと思い、読んでいます。子どもたちもとても気に入っています!
保育士です。2歳児の子に給食前に読み聞かせると、イヤイヤしないで食べる子が増えました。
本作を所謂”しつけ絵本”として捉えておられる方が多いように感じ、ちょっと驚きました。
私は、子供が読んで、ちょっとホラーでユーモアのあるお話を娯楽として楽しむための作品であるとお見受けいたしました。子供に読ませるか迷う、というのも親の気持ちとしては分かります。しかし、「子供向けの絵本はハートフルで優しい内容であるべきだ」というのは大人の傲慢であると思います。
小学生にもなればある程度のユーモラスを理解し楽しめるだけの知性は持ちます。
本作は、どんなユーモラスなら子供も健全に楽しめるのか、いうなれば”子供目線”を凄く意識しておられる作品であるとお見受けいたしました。勿論好みはありますが、「子供向けではない」と大人が評価を下して遠ざけるほどのものではないと思います。
ぜひ学校や自治体の図書館に置いていただいて、子供が気軽に読めるようにしてあげて欲しいです。もしもその上で本作を気に入った場合には、買ってあげて欲しいです。
おばけが ぞろぞろ

自分が小さい頃に読んでおり、慣れ親しんだ絵本だったため、新たに購入しました。『ぶたのた』『やっぱりおおかみ』などで知られる有名な絵本作家・佐々木マキの絵本です。だれもがご存知の方なのではないでしょうか。
『おばけが ぞろぞろ』登場するおばけのフォルムやキャラクターやネーミングが愛らしく、とても可愛いというのが私の個人的な感想です。ただ、こどもにこの絵本を読み聞かせてみると、途中は、楽しそうにしていましたが、最後で、これまで登場したおばけが、男の子が住む家の外に集まってくるというオチで、顔つきがガラッと変わってしまい、それ以降、読む機会が全くありません。
一気に距離を詰めてきたおばけたちが、怖かったのでしょう。こどもに感想を聞いてみると、「みんなが集まって家に来るから怖い」と言っていました。以下、怖い絵本のレビューです。
ページをめくるごとにおばけが1匹ずつでてくる。このおばけがどれもこれも可愛い(でも軽く気持ち悪い)。あたらしいおばけがどんどん登場してだんだん賑やかになっていく・・という話なのでストーリーは他愛もない。
2歳の娘は今オバケブーム。いろんなオバケがいろんな所から出て来るこの本は、大のお気に入りです。毎日この本を読みながら寝ます。
ガラシとクルピラ

1992年は発売された絵本で、幼稚園の定期購読で購入した絵本です。アマゾンの自然や精霊えを題材にした絵本で、ガラシはこの絵本の主人公の男の子の名前で、クルピラは森の精霊の名前です。
絵はペンで描かれていて、鬱蒼としたジャングルの雰囲気が伝わる臨場感のある絵が特徴的です。全く住む世界が違う生活や、絵の中に描かれている風景に興味津々でしたが、体躯が大きく、ギョロッとした大きな眼、そして全身毛むくじゃらのクルピラの姿に圧倒され、最後の方は泣きそうなくらいダメージを受けていました。以下、怖い絵本のレビュー抜粋です。
こどものとも世界の昔ばなしの旅シリーズ。ブラジル、アマゾン川のほとりに住むガラシと、クルピアの出会い。水木サンが喜びそうなおはなし。狩りをするのに戒めを教えてくれる。姿はユニーク。黒い緻密な絵と、文字が赤い工夫がいい。
線画で克明に描かれたアマゾン川ほとりの村、ジャングルの風景が、異様な雰囲気を醸し出していて美しい。後半のシーンに真ん丸で左三分の一が藁ぶきの壁となっている物体が描かれているが、何なのだろう。月かなとも思うが、良く分からない。
かっぱ

絵、構成、ストーリーともに素晴らしくバランスの良い怖い絵本です。迫り来るかっぱと、それを撃退しようとする女の子のハラハラドキドキする物語です。絵もおどろおどろしすぎず、かっぱという親しみやすいモチーフで、物語や絵の随所に工夫が見られ、何度も読むことのできる怖い絵本です。
怖いながらも、「明日も読みたい!」とお気に入りのようです。以下、怖い絵本のレビューです。
ハッピーエンドで終わるのでトラウマにはならないので安心です^_^
昔々、里のはずれに薬草を採って暮らしをたてていた父娘と沼のほとりに住む河童の父子のお話です。
恐怖感がしっかり伝わって、かつ十分大人の鑑賞にも耐えうる作品です。
物語の収まりもよく、イラストも丁寧に描かれていて、予想をみごとに裏切る秀作でした。
かがみのなか

妖怪やおばけをモチーフにした怖い絵本ではなく、不安を掻き立てるような不思議な世界を覗くことのできる絵本です。こちらも『いるの いないの』と同じ怪談えほんシリーズの第2期の絵本となっています。
絵は画家の樋口佳絵が手がけ、物語は『中庭の出来事』『六番目の小夜子』『蜜蜂と遠雷』で知られる作家の恩田陸(おんだりく)が担当しています。以下、怖い絵本のレビューです。
仕事柄(学童保育指導員)子どもたちに、お泊り会の時に読み聞かせをしました。
子どもたちは「怖くなんかない!」と強がっていましたが、怖がる子どもは耳をふさいでいました。
夏ならではの「怪談ばなし」がこれからもシリーズで続きますように。
夜の神社の森のなか ようかいろく

2015年に発売された大野隆介による怖い絵本です。なんといっても鉛筆で描かれた漆黒のリアリティある異世界が特徴的。細密に描かれた天狗や提灯お化けがとても怖いです。読むほどに闇の奥へ引き込まれていくような不思議な魅力があります。ページをめくるたび、静寂の中に息づく妖怪たちの存在感が増していき、まるで夜の森を実際に歩いているような臨場感。子どもの頃の「見えないものへの恐れ」と「覗いてみたい好奇心」を思い出させてくれる一冊です。
以下、怖い絵本のレビューです。
この本が、絵本作家としての著者のデビュー作とのこと。でも、物語も絵もインパクト満載。こわくて面白かった。
タイトルにある通り、夜の神社の森のなかの雰囲気が感じられました。
闇に潜む妖怪たちは少しおどろおどろしいですが、そんなに怖いお話ではなかったです。
最後まで読んだあと、妖怪を探しにもう一度読み返したくなりました。
かっぱ

2016年に発売された「姑獲鳥の夏」や「魍魎の匣」で知られている作家京極夏彦:著、北原明日香:絵による絵本です。
先ほどの杉山亮の「かっぱ」と同じ題材ですが、こちらは岩手県遠野の人・佐々木喜善が故郷で見聞きした怪異の物語を、柳田国男が書きのこした「遠野物語」を京極夏彦が新たな語りにして絵本にしています。
表紙からしてかなり不気味で怖い感じしており、表紙を長女に見せたところ、拒否されたので、読み聞かせはしていないです(笑)ちらっと見せるゾッとする視覚的な怖さがあり、イマジネーションを掻き立てます。かっぱのグロテスクさはあまりないですが、「赤」の持つ色のインパクトがとても強いので、一度見たら忘れられないのではないでしょうか?
日本独特の怖さがあり、大人も子供も興味を持つ話です。子供は、この内容を不思議がって、いろいろ質問してきて、その後も何度も繰り返し読んでいます。
赤い河童!の絵本。
表紙からして怖いけど、怖いだけでなく色々考えさせられ、切なくなる。子どもと一緒に1ページ1ページどきどきしながら読みました。
河童の正体は何だったのか? いろいろな解釈ができる。子どもに想像の余地を与えてるのですね。さすがは京極夏彦!
絵にすごく深みがあります。あちこちに虫や動物が隠れていたり。あと子どもがかわいい(^。^)
怪談えほん こっちをみてる。

漫画家の伊藤潤二さんがイラストを担当しております。表紙から明らかに怖いということわかりますね。ターゲットとしては、大人で、大人向けの怖い絵本であることがわかります。ページ捲ってみるとわかりますが、各ページに書き込みの密度が素晴らしく、漫画の1コマをより濃密に描写したしたような作品になっております。
絵がかなり怖いので、お子様にはお勧めできませんが、伊藤潤二ファンにとっては、生唾ものの絵本ではないでしょうか。うずまきの延長線上にあるような絵本です。
雲、木、机の傷、窓から見える家、そこらじゅうに顔がある。でも誰も気づいていない。やがて顔はぼくだけを見るようになった。学校でも家でも公園でも、顔はぼくだけを見てる。となりそうしち(怪談えほんコンテスト大賞受賞作)と伊藤潤二が描き出す、叫びたくなる恐怖の世界。
怪談えほん (12) おろしてください

著作が、「月光ゲーム」や、「46番目の密室」、「スウェーデン館の謎」などで有名な作家の有栖川有栖さんです。こちらも明らかに表紙が怖く、各ページが暗くてかなり怖いので、大人向けの怖い絵本かもしれません。鬱蒼とした車内に化け物的な人物が多く登場します。1ページ1ページに恐ろしい描写が散りばめられており、全ページに渡ってゾクゾク感が、ハンパないです。オチも秀逸で、シリアスな絵がとても印象的です。
以下、レビューです。
満員電車に乗るのは極力避けたいところ。それと比良坂駅に発着する 電車も要注意! 間違って、その電車に乗ってしまったりすると、 恐怖に感染してしまうからだ。下校途中の男の子が、ちょっとした 寄り道をして森で迷い、町に帰ろうとして電車に乗ってしまうのだが、 周りの乗客をみてビックリ。彼らは人間社会に紛れ込んでいた○○○ だったのだ。男の子はマスク姿の車掌さんに注意されて往路の電車に 乗り換えたのですが・・・
画家の方の挿絵が力強くて妄想世界が面白かったです。親子で読んで見ましたけど、小さな子も絵をじーっと見て楽しんでました。ラストが少し怖い!でも、挿絵が良いので、何回も読んで見たい絵本だと思いました♪


